歯科医師となり勤務医してスキルを身につけていくうちにいよいよ開業しようという方も多いのではないでしょうか。しかし、開業には多額の資金、詳細な計画、適切な設備などが必要で、準備と戦略が求められます

本記事では、歯科の開業に必要な資金や開業のポイント、収入の目安などを解説します。

歯科の開業資金

歯科医院の開業には、広島市内で戸建てを購入しようとした場合、7,100万円程度の資金が必要となり、テナントの場合、約3,722万円の資金が必要です。

この資金には、医療機器の購入費用や賃貸物件の工事費、広告費、運転資金などが含まれています。

開業する際には、これらのコストを正確に把握し、計画的に予算を組むことが求められます。

戸建て開業の場合

• 不動産関連費用: 約3,400万円～
  ※1広島市内の戸建ての価格相場を平均した数字です。
• 医療機器・材料費: 2,000万円〜3,500万円※3
• 賃貸契約・内外装の工事費: 約650万円〜※4
• マーケティング費用（広告費・ウェブ運用など）：約50万〜100万円※5
• 運転資金: 目標利益の2〜6ヵ月分（1,000万円〜1,200万円）※3

テナント開業の場合

• 不動産関連費用: 約22万円～※2
• 医療機器・材料費: 2,000万円〜3,500万円※3
• 賃貸契約・内外装の工事費: 約650万円〜※4
• マーケティング費用（広告費・ウェブ運用など）：約50万〜100万円※5
• 運転資金: 目標利益の2〜6ヵ月分（1,000万円〜1,200万円）※3

これらの資金は自己資金だけでなく、銀行や国・自治体からの融資も活用して調達することになるでしょう。

融資を受ける場合、事業計画書をしっかりと作成し、金融機関に対して信頼性を示さなければなりません。開業時には多くの固定費が発生するため、十分な運転資金を確保しておくことも重要です。

※1参照元：2024/12/03時点の情報 広島市の一戸建て価格相場を調べる｜アットホーム（https://www.athome.co.jp/kodate/souba/hiroshima/hiroshima-locate/）

※2参照元：2024/12/03時点の情報 広島市安佐北区 三入東１丁目 の貸店舗｜アットホーム（https://www.athome.co.jp/rent_store/6981312111/）

※3参照元：税理士セレクションonline【船井総研】（https://zeirisi-selection.funaisoken.co.jp/column/zeirishi-henkou/column-2741/）

※4参照元：店舗設計施工.com（https://www.shop-reform.com/case_study/marketprice/clinic）

※5参照元：ブランディングワークス（https://www.branding-works.jp/marketing/web_marketing_company_hiroshima/）

歯科の開業のポイント

開業にあたって、まずは「どのような歯科医院を作りたいか」というコンセプトを明確にすることが大切です。

患者層や治療内容を事前に検討し、それに合った立地や設備を選ぶことで、開業後の成功に近づきます。

例えば、小児歯科をメインにする場合は、ファミリー層が多く住む住宅街での開院が有効でしょう。開業エリアの選定には、人口動態や競合の有無、交通の利便性、地域のニーズなども考慮する必要があります。

また、歯科医院の運営には保険診療と自由診療のどちらをメインにするかを決めることも重要です。

保険診療は患者が利用しやすく、集客に有利ですが、収益性は限られています。一方で自由診療では高品質な治療を提供することで高い収益を見込めますが、患者数の確保が課題です。したがって、保険診療と自由診療をバランスよく取り入れることが安定した経営運営の鍵となります。

歯科の年収目安

広島県の歯科医師の平均年収は795.2万円※1となっています。ただし、この数字は勤務医と開業医を含めた全体の数字です。

求人ボックスによると勤務医の場合、平均年収は368万円とのこと※2。開業医の場合、数字は公開されていませんが、勤務医の年収を考慮すると広島県の平均年収以上の年収が見込めます。

開業によって、収入の上限が広がり、高収入を得ることが可能です。開業した場合、収入は診療内容や患者数、地域の特性に左右されるため、柔軟な経営方針と努力が必要です。収入の安定には患者の定着も欠かせません。地域のかかりつけ医としての信頼を築くことで、安定した収入が期待できます。

※1参照元：2023年調査｜賃金構造基本統計調査 （https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003445758&utm_source=chatgpt.com）

※2参照元：2024/12/03時点の情報 求人ボックス 給料ナビ（https://xn--pckua2a7gp15o89zb.com/歯科医師の年収・時給-広島県）

歯科の収入源と資金繰りのポイント

歯科医院の主な収入源は、保険診療と自由診療です。

保険診療は安定した患者数を確保できる一方で、収益は限られています。そのため、多くの歯科医院では保険診療を中心にしつつ、一部に自由診療を取り入れることで収益性を高めています。

インプラントやホワイトニングなど、自由診療の割合を増やすことで、経営の安定化を図ることができます。

審美歯科や矯正歯科などのニーズが高まっているため、これらの自由診療を積極的に取り入れることが収益増加に寄与します。

資金繰りについては、初期費用の高さや開業後しばらくは収益が安定しないことを考慮して、十分な運転資金の確保が重要です。融資を利用する場合は、事業計画書の作成や資金調達の手続きを進める必要があります。

開業初期には特に多くの資金が必要となるため、初年度の資金計画をしっかりと立てることが大切です。必要に応じて、リースや助成金の活用なども検討することで、資金負担を軽減できます。

このサイトでは、内科系クリニック、歯科クリニック、美容クリニックの診療科目別におすすめの開業支援コンサルタントを紹介しています。診療科目によって必要なサポートや戦略が異なるため、適切なコンサルを選ぶことが成功のカギとなります。広島でクリニックを開業する際のパートナー選びに、ぜひ参考にしてみてください。

歯科を開業する場合、必要な設備や機器

歯科医院の開業には、多岐にわたる医療機器の準備が必要です。

代表的な設備には、歯科診療ユニット、X線装置、コンプレッサー、バキューム、CTスキャナーなどが含まれます。これらの機器は、多額の予算が必要であるため、リースなどの方法も一般的です。

CTスキャナーのような高度な機器はコストがかかるため、運用状況や必要性を見極めた上で導入することが求められます。電子カルテや予約システムなどのデジタル化も進んでおり、効率的な運営を目指すための投資も必要です。

システムを導入することで、患者の予約管理やカルテの整理が効率化され、診療時間の短縮や患者満足度の向上が期待できます。

待合室や診療室の快適さも患者の印象に影響するため、内装にこだわることも大切です。清潔でリラックスできる空間を提供することは、患者が再び訪れたくなる要素の一つです。小児歯科を扱う場合は、子どもが安心できるような配慮が必要になります。

まとめ

歯科医院の開業には、多くの資金と綿密な計画が必要です。成功するためには、資金調達を含めた事前準備を怠らず、しっかりとしたコンセプトを持つことが重要です。

開業後も安定した経営を行うために、患者との信頼関係を築き、収入源を多様化する取り組みが求められます。資金計画や設備の選定、診療の方針などを整え、持続可能な歯科医院経営を目指してください。