開業は、多くの医師にとって将来的な目標の一つです。しかし、実際に開業するにはどのくらいの資金が必要で、どのような戦略をとるべきなのでしょうか。

成功するためには、開業資金の準備や経営戦略の立案が欠かせません。一般内科を開業する際に必要な資金や年収の目安、設備の選定、経営のポイントについて解説します。

一般内科の開業資金

一般内科を開業するためには、大きく分けて設備資金と運転資金が必要です。

総額としては、戸建てで開業する場合は約6,700万円～、テナントでの開業の場合は約3,300万円～かかります。

内訳は以下の通りです。

戸建て開業の場合

• 不動産関連費用: 約3,400万円～
  ※1広島市内の戸建ての価格相場を平均した数字です。
• 施工・内装工事（設計、施工、看板など）：約650万円～※3
• 診療設備費: 約2,000万円から3,500万円※4
• 什器備品・OA機器: 約400万円から600万円※4
• 医療消耗品: 約100万円※4
• 集患・広告費: 約50万〜100万円※5
• 採用・研修費: 約90万円※6

テナント開業の場合

• 不動産関連費用: 約22万円～※2
• 施工・内装工事（設計、施工、看板など）：約650万円～※3
• 診療設備費: 約2,000万円から3,500万円※4
• 什器備品・OA機器: 約400万円から600万円※4
• 医療消耗品: 約100万円※4
• 集患・広告費: 約50万〜100万円※5
• 採用・研修費: 約90万円※6

電子カルテやX線装置、超音波診断装置などの設備が必要になるため、これらの費用が大きな割合を占めます。これらの費用をどのように抑えるかが、開業の成功には欠かせない要素です。

開業地域の選定や開業形態によっても資金の規模は変わるため、綿密な計画が求められます。

※1参照元：広島市の一戸建て価格相場を調べる｜アットホーム（https://www.athome.co.jp/kodate/souba/hiroshima/hiroshima-locate/）

※2参照元：2024/12/03時点の情報 広島市安佐北区 三入東１丁目 の貸店舗｜アットホーム（https://www.athome.co.jp/rent_store/6981312111/）

※3参照元：店舗設計施工.com（https://www.shop-reform.com/case_study/marketprice/clinic）

※4参照元：CLINICS(クリニクス)（https://clinics-cloud.com/column/239）

※5参照元：ブランディングワークス（https://www.branding-works.jp/marketing/web_marketing_company_hiroshima/）

※6参照元：医療経済実態調査（医療機関等調査） 第２４回医療経済実態調査（医療機関等調査） 報告 （https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files）

一般内科の開業のポイント

開業は医師としての技術だけでなく経営者としてのスキルも求められます。地域医療の一翼を担い、患者の健康を守るだけでなく、クリニックの収益性を維持しなければなりません。

開業エリアの選定

クリニックの立地は重要な要素です。一般内科の場合、診療圏が狭い傾向にあるため、周辺の人口密度や年齢層、他の医療機関の存在を考慮する必要があります。

首都圏では競争が激しいため、地方に比べて年収が低くなるケースも少なくありません。一方で、地方は競合が少ないため患者を確保しやすいメリットがありますが、過疎地ではそもそも患者数が少ない場合もあります。

開業資金の確保

開業には多額の初期費用がかかります。自己資金に加えて金融機関からの融資が必要になるケースも多く、その際には説得力のある事業計画書が求められます。

開業資金を確保するためには、精緻な資金計画が不可欠です。自己資金が十分にあると融資審査がスムーズに進む可能性が高まります。

集患対策

患者を集めるためには、戦略的な取り組みが必要です。

インターネットの活用が欠かせません。ホームページの作成や広告の出稿、SNSを活用した情報発信など、オンラインでの集患対策は効果的です。

また、地域メディアへの寄稿や、地域イベントでの講演などを通じて住民との関係を築くことで、クリニックの信頼を高められます。

このサイトでは、内科系クリニック、歯科クリニック、美容クリニックの診療科目別におすすめの開業支援コンサルタントを紹介しています。診療科目によって必要なサポートや戦略が異なるため、適切なコンサルを選ぶことが成功のカギとなります。広島でクリニックを開業する際のパートナー選びに、ぜひ参考にしてみてください。

一般内科の年収目安

一般内科を開業した場合の年収は、経営形態によって異なります。

※広島県の内科医の平均年収に関する具体的なデータが確認できなかったため、医療経済実態調査に基づく全国の平均年収についてまとめます。

個人クリニックの場合

収益は月額約728万円、経費を差し引いた後の月収は約233万円で、年収にすると約2,796万円です。

医療法人の場合

収益は月額約1,343万円、税引後の月収は約133万円で、年収は約1,596万円になります。

一般内科を開業する医師にとって、年収はクリニックの経営状況や立地条件、診療方針など多くの要因に影響されます。

地域や診療形態によっても異なりますが、開業による収入は安定しているといえるでしょう。

参照元：2023年5月調査｜中央社会保険医療協議会 第24回医療経済実態調査（医療機関等調査）/統計表-全体版（https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files）

一般内科の収入源と資金繰りのポイント

内科は患者層が幅広く、風邪やインフルエンザなどの一般的な疾患から慢性的な病気までさまざまな症状に対応するため、常に一定の患者が見込める点が強みです。

しかし、地域ごとの患者の需要や競合の状況を見極め、収入源を多様化することが求められます。

外来診療

一般的な外来診療は、内科クリニックの基本的な収入源です。内科クリニックの診療報酬点数は、地域や在宅診療の有無により異なります。

在宅診療を行わない外来中心の診療所では、診療報酬が低めとなることがあり、地域の医療ニーズに合ったサービスを提供する必要があります。

在宅診療

高齢化社会の進展に伴い、在宅診療の需要が増加中です。在宅診療は、外来診療よりも診療報酬点数が高く設定されており、収入の増加が見込めます。

関東地方では、外来診療と在宅診療の報酬差が大きく、在宅診療を導入することで地域医療への貢献と同時に経営の安定が期待できます。

開業後の運営を安定させるためには、従業員の給与、広告費、薬剤費、家賃、医師会費などの運転資金が必要です。

初期段階では、過度な人員配置を避け、必要最小限のスタッフでスタートすることが推奨されます。また、広告費を適切に配分し、地元の患者にクリニックを認知してもらうためのマーケティングも必要です。

一般内科を開業する場合、必要な設備や機器

一般内科を開業するためには、様々な医療機器が必要となります。診療方針や地域のニーズに合わせて必要な機器を適切に選定することがポイントです。

電子カルテシステム

診療情報の効率的な管理を行うために必須です。初期投資が不要なクラウド型の電子カルテも利用可能です。

一般レントゲン装置

呼吸器系の診断に使用します。レントゲン装置の導入には、設置場所の確保や保健所の許可が必要で、これらの準備も考慮しなければなりません。

CR/PACS装置

レントゲン画像の管理・共有に使用されるシステムです。PACSモニタの構成も含めて、画像の精度を保つための設備です。

超音波画像診断装置

患者に負担をかけずに診断が可能で消化器や循環器の診断に用いられます。

心電計

循環器の状態を評価するために使用されます。

これらの設備の総額は約2,000万～3,000万円に達しますが、診療内容や規模に応じて適切な設備を選びましょう。内視鏡やレントゲンなどは、導入の準備に時間がかかるため、開業の初期段階から計画を立てる必要があります。

また、医療機器の導入に伴う電力の問題にも注意しなければなりません。電力容量が不足することがないように、物件選びの段階で確認するようにしてください。

参照元：FPサービス（https://www.doctorsupportnet.jp/kamoku/naika.html）

まとめ

一般内科の開業には多額の資金が必要であり、、資金計画やコンセプトの明確化が重要になります。

患者を広く受け入れるための戦略や地域選びもあり、特に郊外での開業や在宅診療の導入が有効な手段です。安定した収入を得るためには、開業前からしっかりとした資金計画を立て、地域に根ざした医療を提供することが求められます。

必要な設備や運転資金をしっかりと確保し、無理のない経営を目指しましょう。