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クリニック開業の流れ・手順を解説

クリニックを開業したいと考えている方は、資格の取得や手続きの準備について全体の流れを把握しましょう。このページでは、クリニック開業を検討している医師の方を対象に、開業までの流れや必要な資格・届出、失敗を回避するためのポイントについて解説します。

  1. クリニック開業までの手順
  2. 事業計画書の作成
  3. 物件の選定とリサーチ
  4. 資金調達・借入
  5. 設備の導入と内装の工事
  6. 行政手続きの対応
  7. 公認会計士・税理士・社労士などの選定契約
  8. スタッフの採用とトレーニング
  9. その他 クリニック開業におけるよくある疑問

クリニック開業には細かな手順と様々な届出が必要です。以下、主な流れを順に説明します。

1.事業計画書の作成

開業の第一歩は、クリニックのコンセプトや診療方針を明確にし、事業計画書を作成することです。資金計画や開業後の収支予測なども含めて詳細に記載しましょう。計画書は融資を受ける際にも、重要な書類となります。

2.物件の選定とリサーチ

開業場所の選定は集患に大きな影響を与えるため、慎重なリサーチが必要です。人口分布や競合クリニックの状況を分析した上で物件を選びましょう。戸建てとするか、賃貸とするか、テナント開業とするか、開業方法はさまざまです。賃貸物件の場合は、医療施設としての使用が可能か事前に確認します。

調査のポイント

人口 想定している立地から500メートル以内を目安にしましょう。
競合数 周辺に医院数が何件あるかチェックしましょう。
立地 駅周辺、商業施設内、集客施設内、住宅地など、人の流れを確認しましょう。
発展性 重要度は低めですが、都市計画やマンション建設など、エリアの発展性も参考にしましょう。
競合確認 競合はクリニックだけではありません。病院を含め、診療科・診療時間・専門数など、競合となる医院の情報をリサーチしましょう。

物件の選定

物件には下記のタイプがあります。どのような物件で開業するか検討しましょう。

テナント物件 医療施設としての賃貸が可能か確認しましょう。築年数、修繕計画、耐震、電力容量、床の加重基準も押さえるべきポイントです。
商業施設 規模によりますが、大型店舗の場合は工事費がかかります。定期借用契約になることがほとんどなので、条件を確認しましょう。
クリニックモール 調剤薬局が主体となり運営しているケースはほとんどでしょう。そのため、各調剤薬局への相談が必要になります。
戸建て物件 外観や内装などの自由度が高く、こだわりのクリニックを立てられるでしょう。建て直し物件の場合は開業資金の借入金年数に影響する可能性があります。
継承物件 前院長から継承する物件の場合、承認取り付けの必要性が出る可能性があります。医療機器や営業権など税理士への相談や保健所への相談も必要です。
居抜き物件 ほとんど流通していません。テナント物件の注意点と同様です。

参照元:クリニック開業・医院開業公式HP(https://grandeur-medical.co.jp/openingProcess.html)

広島件の戸建て物件・住宅併用物件の場合

物件の選定の種類のうち、広島県の戸建て物件と住宅併用物件の情報があります。広島県の「令和6年広島県地価調査」において、診療所のみの物件、診療所・事務所を住宅を兼用している物件、診療所と住宅を兼用している物件それぞれの1平方メートルあたりの平均価格を公表しています。(※1)

やはり、住宅兼用は費用が高くなる傾向にあり、建てるエリアによっても価格が変動します。

基準値の利用の現状 基準地の1平方メートル当たりの価格(円)
診療所 42,200円
診療所・事務所兼住宅 930,000円
診療所・事務所兼共同住宅 399,000円
診療所兼住宅 124,000円
※税不明

参照元:広島県公式HP「基準地一覧(林地を除く)」(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/39/30chikachosa.html?utm_source=chatgpt.com)

3.資金調達・借入

開業資金は立地や診療科目、設備投資によって準備すべき金額が変わります。この資金には、以下のような項目が含まれます。

物件取得費用

賃貸物件であっても保証金や仲介手数料が必要です。

内装工事費

クリニックとしての設計や内装費用が含まれます。

医療機器の購入費

診療内容により異なります。どれだけの設備投資をするのか計画を立てましょう。

運転資金

開業直後は患者数が安定しないこともあるため、数か月分の運転資金を確保しておくと安心です。戸建てにするのか、テナント開業するのか、所有する建物があるのかなどでも、用意すべき自己資金が変わります。また、自己資金以外に開業資金を用意する方法として、借り入れや補助金の利用を検討するのかなどもまとめています。

クリニック開業前に考えるべき人件費対策

開業時には、経営が軌道に乗るまでは、医療事務や看護師などの人件費が主な固定費となります。特に看護師の給与は市場相場に基づき適切に設定する必要がありますが、余剰人員を避けることで運営コストの抑制ができるでしょう。

人件費対策のポイント

開業資金の中でも人件費をどれくらいの割合にするか「人件費率」を考えておきましょう。物価高に伴う賃上げの動きがある中、人件費は開業後もかかるコストなので経営と人材確保のバランスを知ることは大切です。

クリニックを小規模で開業する場合、看護師と受付スタッフの構成になるでしょう。広島県内の看護師と医療事務スタッフの正社員の平均年収、パートアルバイトの平均時給は以下の通りです。(2024年10月30日時点)

職種 雇用形態 平均月収 月収換算 平均時給
看護師 正社員 320万円 27万円 -
医療事務 正社員 300万円 25万円 -
医療事務 アルバイト・パート - - 990円
医療事務 派遣社員 - - 1,195円

参照元:求人ボックス・給料ナビ「看護師(広島県)の仕事の年収・時給・給与」

参照元:求人ボックス・給料ナビ「医療事務(広島県)の仕事の年収・時給・給与」

開業するエリアの競合クリニックの月給との比較した上で、福利厚生、夜勤手当、資格手当など、良い人材を確保するための人件費を考慮しつつ、クリニックの収益に対する人件費の目安となるラインはどこか、健全な経営を続けるための人件費が占める割合はいくらなのか、気を付けるポイントをまとめています。

4.設備の導入と内装の工事

医療機器や内装工事の手配も必要です。設備導入には時間がかかるため、早めに準備することがポイントです。内装も患者にとって快適でリラックスできる空間を意識しましょう。診療科によって設備の規模や患者の層が異なりますので、タイプに合わせた内装や施設も用意すると良いでしょう。

5.行政手続きの対応

クリニック開業に向けて公的機関への届け出は必要です。とくに「開業届」の提出は義務付けられています。事業をスタートさせた日から1ヵ月以内に税務署へ届け出る必要があり、届けた場合のメリットや注意点、その他の必要資料や手続きなどを押さえておきましょう。

医療法に基づく届出

開業予定の地域の保健所に「診療所開設届出書」を提出します。設置する診療所が医療法の基準を満たしていることを証明する書類や図面なども提出します。

保険医療機関指定申請

保険診療を行う場合、診療所が保険医療機関として指定を受ける必要があります。この申請を行わないと、健康保険が適用されず患者の自己負担が全額となります。

その他の関係省庁への届け出

消防署や地元の自治体にも届け出が必要です。クリニック内に医療機器を設置する場合は放射線や薬品の取り扱いについても確認が求められます。

6.公認会計士・税理士・社労士などの選定契約

ひとつの事業組織となるため、納税や会計の手続きは必要です。また、スタッフを雇用する場合は労務手続きも発生します。経営のサポートを依頼し、クリニックの運営が滞りなく行えるよう選定から契約まで行いましょう。

7.スタッフの採用とトレーニング

医療事務や看護師などのスタッフを採用します。クリニックの理念や診療方針をスタッフに共有し、患者に質の高い医療サービスを提供できるよう早めに採用をして連携を確認しましょう。新規開業のクリニックでは、立ち上げに伴い柔軟な対応力やコミュニケーションスキルも重要視されます。

採用計画を立てる

開業時の診療規模を基に必要な人員数を計画し、無駄のない人件費を意識しましょう。

契約形態の工夫

常勤と非常勤を組み合わせることで、繁忙期や閑散期に合わせたフレキシブルな勤務体制を整えます。

診療科の経験の有無

経験豊富な看護師は診療のサポートだけでなく、患者への対応も円滑に進められます。とくに開業時にはコストの観点から最少人数でスタートさせるケースが多く、少ないスタッフで円滑に診療を行うためには個々の経験が左右すると言えるでしょう。

コミュニケーションスキルを確認

患者と直接接する看護師のコミュニケーション力は、患者満足度に直結します。面接で柔軟な対応力を確認しましょう。

クリニックの円滑な運営には、看護師や受付スタッフの人材確保が必要です。どの業界も売り手市場であるように、看護師も引く手あまたです。その中でスタッフを確保するための採用活動や長く働き続けてもらうための労働環境を事前に考えましょう。

その他 クリニック開業におけるよくある疑問

クリニック開業において、よくある疑問をまとめました。開業までの全体の流れだけではなく、開業後も経営を上手く行うための参考としてください。

クリニック開業の失敗を回避する方法とは?

クリニック開業の失敗事例として多いのは、集患計画や資金計画の甘さです。例えば、開業立地のリサーチ不足により予想した集患数が確保できず、収益が上がらないケースが多く見られます。

失敗を回避するためのポイント

回避するためのポイントは、大きく2つあります。

リサーチを徹底する

地域の需要や競合の状況を調べ、患者のニーズを理解しましょう。地域の医療ニーズを十分に理解せずに開業場所を選ぶと、需要と供給のミスマッチが生じ、集患が思うように進まなくなる可能性があります。

資金計画の慎重な見直し

運転資金の確保や、収支予測のシミュレーションを行い、資金不足を防ぎます。

近年はクリニックの倒産件数が増えており、2023年と2024年の件数比率を調査しました。病院も含まれた数字ですが、今後開業する上で事例や原因をリサーチし、失敗を回避しましょう。よくある事例として「資金不足」や「立地選定の失敗」などがあります。

なぜ資金不足に陥るのか、事業戦略のミスマッチが起こるのか、原因と対策を紹介します。

クリニック開業で必要な資格とは?

医師免許以外でクリニック開業に必要な資格はあるのでしょうか。「開業」を目指すということは「経営者」の視点も欠かせません。医療技術の自己研鑽だけではなく、経営者として会計・税務・スタッフの採用管理・スタッフや患者とのコミュニケーションなど、求められるスキルは多岐に渡ります。下記ページでは長く経営し続けるためのポイントを紹介します。

クリニック開業には、医師免許のみならずさまざまな資格や行政手続きが必要です。事業計画書の作成から、物件選定、行政手続き、スタッフ採用と順を追って進めていくことでスムーズに開業準備を整えられるでしょう。

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※1 参照元:2024/10 タカラベルモント公式HPよりhttps://www.takara-dental.jp/startup/

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